いざ医局をやめようと思ったとき「退局あいさつがうまくいくかどうか」という懸念に向き合うこととなります。
- 教授との退局挨拶を穏便にすり抜ける方法はないかな。
- 教授や医局長からの引き止めって本当にあるの?
- 引き止めにあって辞められなくなったらどうしよう。
退局は医局にとって大きな損失です。多くの場合、医局を辞めたい意思を伝えても教授や医局長から引き止めを受けることになるでしょう。
2022年4月に退局・クリニック勤務に転職した私も教授に退局のあいさつに伺った際に引き止めはありました。ただ事前に準備をしていたため、思ったほどは強い引き止めに合うことなく退局することができました。
引き止めにあいにくくするポイントは次の二つです。
- 引き止めにくい退局理由を考える
- 医局にとって引き止めなくてもいいタイミングを見計らう
また熱心な引き止めにあった場合の対策も紹介していますのでぜひご覧ください。
退局時の引き止めは本当にあるのか
まず退局時の引き止めですが、十中八九あると考えておいた方がいいでしょう。ただし引き止めにも程度があります。
自分自身はあまりなかった
私自身の実体験で言うと教授からの引き止めはありましたが、強いものではありませんでした。ほとんど社交辞令的なものだったのかもしれません。
「せっかく手術手技も身についてきたし、存分に活かせる頃なのでは?」
「専門医もとれたばかりだし、ここから楽しくなるよ?」
「外来だけになるのはつまらないと思うけどなあ」
基本的には今のキャリアを失うことへがもったいないと思わせる論調でした。私自身は手術や手技ができなくなることには、気持ちの折り合いをつけていたので響きませんでした。
医局の空気による
引き止めは都市部より地方の医局でより強固になるという話もあります。ただ結局はその医局それぞれということにつきます。
同じ大学でも科が違えば雰囲気もガラリと変わります。自身の医局が退局者に対してどのような態度にでるか、よく観察しておくとよいでしょう。すでに退局を果たした元医局員からの話を聞ける一番参考になります。
医局によっては、全く退局を認めようとしないところもあるようですが、大半は軽い引き止めで済みます。
そもそも退局の意思は強要できるものではありません。いくら教授を認めないからといって退局できないとうことには絶対にならないのです。
ただ円満な退局をゴールにした場合は、強い引き止めに合うと難しい場合もあります。できるだけ引き止めに合いにくい状況を作り出すのも戦略です。
引き止めに合いにくくするための準備
事前に準備をして引き止めにあう可能性が少しでも小さくしましょう。
引き止めにくい退局理由
まずは引き止めにあいにくい理由を考えます。ポイントは医局への不満を伝えるのではなく、自身の問題に置き換えることです。
- 医局ではできない経験を積みたい
- 家庭内の問題がありやむを得ない
教授や医局長でも踏み込みにくい理由を設定できれば、引き止めにくくなるでしょう。逆に医局への不満を理由にすると、医局人事の工夫により退局理由を解決されてしまいかねません。
医局を辞める理由については下記記事でも検討しているので、ご覧ください。
引き止めなくてもいいタイミング
医局を辞めるタイミング、退局の意を伝えるタイミングは重要です。自分の人事に与える影響が最も少ないタイミングを狙いましょう。
最悪なのは来年度の医局人事が決まった後に、来年度の退局を伝えるケースです。この場合、医局人事の修正を余儀なくされ、他の人にも迷惑をかけることになります。教授をはじめ人事担当からも強く引き止められるでしょう。
医局人事が決まる前であれば、ある程度いつでもよいのですが、医局員が増えるタイミングで退局あいさつをすると、引き止められることなく円満に辞めやすくなります。
10-11月には研修医2年目が入局を決める時期でもあるので、その辺りで退局のあいさつにいくと揉めにくいでしょう。ただしその年の研修医がぜんぜん入らないとなると返って不興を買うことになります。事前に入局希望者の動向も把握しておきましょう。
医局を辞めるタイミングについてはこちらの記事で詳細に検討しています。
内定を出しておく
次の就職先を決めておくことで強い退局の意思を伝えられます。相談なしに次の進路を決めたことを咎める教授もいるかもしれませんが、それなら仕方ないという結論に落ち着きます。
内定を退局前に決めておく場合、とくに自分で転職先の病院と交渉する場合は転職活動していることが漏れないように細心の注意を払う必要あります。
その点においては、転職エージェントを利用した方が動きやすいとも言えます。
実際に引き止められてしまったら
どんなに入念な準備をしても結局は引き止められてしまったということも場合も考えておきます。
自分の意思を強固にしておく
最終的には教授に反対されても医局を辞めるという強い意志を持っておくことが肝要です。そのためには、自分自身がなぜ医局を辞めたいのかという問題について、徹底的に向き合う必要があります。
教授も今までに数々の退局相談をいなしてきた経験を持っています。甘い言葉がでてきても惑わされないように、自身の動機をもう一度整理しておきましょう。
引き止められた場合の当日の対応
あいさつ時の引き止めが思ったよりも強く、どうにも面談が平行線になった場合は、一度検討する旨を伝え、2回目の面談を設定しましょう。
時間を置くことによって教授や医局長の中にも諦めの感情が生まれるのを待って、再度退局の意を伝えます。こちらの気持ちが揺るがないところを見せることも効果的です。
あと何年の条件は飲まない方がいい
折衷案として「退局は許可するから○○病院で2-3年働いてほしい」という条件が出されることもあります。このような条件を飲んでしまうと、大変です。退局の意を伝えてからは医局を辞める人のレッテルを張られているので、大学はもちろん、関連病院でも好待遇は期待できません。
次年度の退局する意思をはっきりと伝えましょう。
転職エージェントに相談する
転職エージェントは転職先を見つけてくれるだけではなく、退局の相談にも乗ってくれます。退局時のトラブルへの相談実績のある大手の転職エージェントがおすすめです。
医局の息のかからない職場に転職する
どうしても退局を許してもらえず喧嘩別れのように退局した場合でも、医局からの影響が少ない転職先を選んでいれば安心です。医局からの嫌がらせがあったとしても耐えられます。
医局の息のかからない転職先を自分で探そうとするのは難しく、ここは転職エージェントの出番かと思います。私自身のケースも、転職エージェントで医局とは関係の薄いクリニックの求人を見つけてきてくれました。
まとめ
退局時の引き止められたときの対策について解説しました。
医局を辞めるかどうか、人生において非常に重い決断です。だからこそ、いざ本気で退局を決心したらスムーズに進めたいですね。
医局を辞めるまでの一連の流れはこちら。
https://www.sanai-hosp.jp/ikyoku-yameru-preparation/医局を辞めたら後悔するのではないかと思っている方、下記の記事で実際に医局を辞めて半年経つ私の感想をまとめています。ぜひご覧ください。
退局を検討している方の一助になれば幸いです。