- いざ退局を決意したとき、どんなスケジュールで医局を辞めればいいのか?
- できるだけ穏便に医局を辞めたい。
円満な退局を実現するためには、医局を辞めるタイミングが何よりも重要です。
この記事では2022年4月に退局した私が自身の経験を踏まえて、医局を辞める適切なタイミングについて解説します。
医局人事での勤務に限界を感じ、退局を検討している方の一助になれば幸いです。
退局するベストな日程
退局日を逆算し、て次のイベントのタイミングも予め考えておくとスムーズでしょう。
- 実際に退局するタイミング
- 教授/医局長に話を切り出すタイミング
- 転職先を決めるタイミング
医師の転職は人生における非常に大きな選択です。可能であれば時間や精神状態に余裕な状況で、ゆっくりと時間をかけて吟味します。
退局のタイミングについても予め余裕をもって設定することが重要です。1年の中で転職に向いている時期はあるのでしょうか。
3月末退局、4月から転職が一番スムーズ
追いつめられていて一刻でも早く医局を辞めたいという理由がとくにないのであれば、3月末に退局、4月1日から転職先での勤務が最も円滑に進みます。
一般的な医局人事も年度毎の決定ですし、これに準ずると医局人事を乱すことなく円満に退局できる可能性が高まります。
また求人件数についてもこのタイミングが最多です。
次点で9月末退局、10月から転職
年度のちょうど半分の時期での交代も求人はあります。しかし医局の人事に影響を与えないという意味では微妙な時期になってきますので、できれば避けましょう。
退局あいさつのベストな日程
医師の転職作業で一番重要な退局あいさつ。退局あいさつのタイミングも穏便に退局するために、慎重に検討しましょう。
まずは医局人事の日程を把握することが大事です。
医局人事の1年
私の所属していた医局を例に、医局の人事の1年間の予定を挙げてみます。割と一般的な日程になっているかと思います。
4-8月頃 | 退局者の申告が増える |
9-11月頃 | 新規入局者の決定 医局員が増え雰囲気いい感じ |
12-1月頃 | 関連病院の枠の決定 医局員への希望の調査 |
2月頃 | 人事決定 |
3月頃 | 退局者がでると医局が荒れる |
4-8月頃
過去の退局者の動向を探ってみると、退局の申告(退局あいさつ)はこの頃が最多でした。医局人事にも影響を与えず、これから医局員が増える期待もあり退局のあいさつがしやすいと判断される医師が多いということでしょう。
9-11月頃
研修医2年目の医師が来年度から専攻医として入局を決定する時期です。ただし専門医機構から厳密な期限は設けられておらず、この時期を過ぎても入局者が決まることもあります。医局の人数が増えていくこともあって、医局内の雰囲気は和やかです。
12-1月頃
医局長や教授が各関連病院の部長にヒアリングを行い、関連病院の人事枠を決定。同時に各医局員への来年度の人事希望の調査もあります。
この頃は関連病院の増減員なども決定され、医局内が殺伐した雰囲気に変わります。
2月頃
来年度の人事が最終決定されます。
3月頃
この頃に退局者でると医局が多いに荒れます。一度決まった人事を再度練り直す必要が出てくるからです。可能であれば退局あいさつは避けましょう。
退局の意思を早く伝えることのメリット
退局の意思を早く伝えることで医局人事への影響を小さくできます。医局が嫌うのは一度決めた人事を白紙に戻されることです。
毎年の医局長の負担を見ていればその通りだと感じます。
医局の人事を指揮する教授・医局長だけでなく、人事を覆されると複数の医局員にも迷惑をかけることになります。
最低でも医局人事が決まる前には退局あいさつを予定しましょう。
退局の意思を早く伝えることのデメリット
上記を考慮すると退局あいさつは早ければ早いほどいいということになりますが、デメリットはあるのでしょうか。
- 求人が限られる
- 医局に居づらい期間が増える
求人を出している病院はできるだけ早く着任してくれる医師を求めているので、転職可能な時期が先になるほど求人数は減ります。ただ大きく変わるということないです。
退局あいさつ後、医局員の中には「医局を裏切った人」という目で見てくる医師もいます。また露骨に態度に出されなくても、医局にはいづらいもの。退局することが早く伝われば、その期間が延びることにはなります。
転職先は先に決めておくべき?
退局まで時間的余裕がとれるのであれば、転職先は先に決めておいた方が無難です。教授や医局長への報告時に「医局をやめてこれから次の就職先を決めたいと思っている」のと「来年度から○○病院で働くことに決めました」というのでは心証が違います。
前者であれば、引き止めたくなりますよね。退局の決意が固まっていればあいさつ前に転職先の内定をもらいましょう。
転職先が決まる前に退局あいさつした後輩医師
転職先が決まる前に教授へのあいさつへ行った後輩の事例を挙げておきます。彼はどうしても医局での業務を離れたい一心で、突発的に退局を宣言しました。
結局のところ退局は叶いましたが、あいさつ時の引き止めは苛烈を極めたと聞いています。医局長にもせまられ、通常業務にも支障が出るレベルでした。
転職先探しにはエージェントが一助に
可能であれば退局を告げる前に転職先を決めておくとスムーズに話が進みます。ただもとから当てがあればいいですが、いざ転職先を自分で探すとなると大変です。
とくに知り合いてつてがないのであれば、転職エージェントへの登録は選択肢になります。以下の記事で転職エージェントについて解説しています。
私の実例~医局人事決定の半年前にあいさつ
私の場合は入念な計画を立てました。転職時期は年度の変わり目に設定。転職エージェントに登録して1年前には内定をもらいました。
教授への退局のあいさつは医局人事が決定する半年前の8月に決行。月内に医局長へのあいさつも済ませました。そこから約半年間は「医局をやめる人」という扱いになりましたが、嫌がらせは流石にありませんでした。
医局人事では、私の抜ける分をしっかり考慮された上で決まっていたので、とくにトラブルになることもありませんでした。
可能であれば、教授へのあいさつは医局人事の半年~1年前には終わらせておくと、揉めにくいでしょう。
医局人事の決定後に退局した先輩医師
最後に私がいた医局で反面教師とした先輩医師の事例を報告しておきます。その先生は知り合いの開業医の手伝いをすることになったといって、医局人事が決定した2月に「来年度から退局します」と告げたのです。
その報告があったときの医局はかなり揉めました。その先輩医師ももっと早くに報告してれば、不必要に医局員の不興を買うことはなかったでしょう。
まとめ
退局時の各イベントの適切なタイミングについて解説しました。医局を穏便に辞めるためにご活用いただければ幸いです。
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